「ながらスマホ」に問題なし、と軽く考えていいのか?

2017年6月の調査によると、ついにスマホ所有率が78%になったようだ。もはや老若男女だれもがスマホを使う時代となったが、それに伴い「ながらスマホ」を街で見かけることも当たり前の風景となってきた。「ながらスマホは危険」と一所懸命警鐘を鳴らしても、一向に減る気配がない。ひょっとしたら、「ながらスマホ」で人生を棒に振るかもしれないリスクを紹介する。(取材・文/フリーライター 吉永麻桔)

「歩きスマホ」で衝突事故なら
賠償責任は免れない?

 東京消防庁によると、「ながらスマホ」で事故を起こし、緊急搬送された人の数が、2016年は過去5年間で最多になったという。世代別に見ると40代が一番多く、20代、30代と続く。40代が一番多いとは少し意外だったが、地図アプリを見ながらの歩きスマホなど、身に覚えのあるビジネスマンも多いのではないだろうか。

 歩行者同士の事故で一番多いのは、衝突だ。過去に25歳の女性と91歳の女性がぶつかり、91歳の女性が大けがをしたことにより、損害賠償を求め裁判になった事例がある。最終的に25歳女性は賠償責任を免れたが、このケースの女性はスマホを操作していたわけではなかった。もしこの女性が「歩きスマホ」をしていたら、事情は全く違っていただろうと分析する弁護士もいる。「歩きスマホ」をしている時点で「歩行者としての注意を払っていない」と判断され、過失ありで責任を負う可能性が極めて高いのだそうだ。

 ちなみに、この25歳の女性が賠償責任を免れていなかったら、780万円の支払いが命じられていたそうだ。