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満を持して投入する新型携帯ゲーム機「PS Vita」
ゼロからのスタートで、業界の閉塞感ごと打ち破りたい
――河野弘・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン プレジデントに聞く

石島照代 [ジャーナリスト]
【第23回】 2011年10月26日
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河野 一方では、技術のイノベーションがここ数年すごい。これは、ビジネスチャンスがまだまだあるっていうことですよ。

 そのためにも、我々は色々なことにチャレンジしていかなきゃいけない。ずっと同じことを続けていても、世の中が我々の考えている未来を受け入れてくれるという保証はどこにもありませんから。新たな成長ができるように、我々自身も変わらなくてはいけないでしょう。

 ただし同時に、迎合するわけではないですが、世の中のニーズやトレンドを先取りしなくてはいけないとも思うわけです。そのとき、どのように我々の立ち位置をうまくとるかということになるわけですが、一足飛びに飛びすぎても支持してもらえないし、今いるところにステイしていても受け入れてはもらえない。

 そこをどう見極めるかがすごく重要で、微妙な舵取りだなと思っています。現在、業界はそういう点において、世の中から試されている時期でしょう。

軸足はプレイステーションビジネス
カジュアル市場とどう向き合っていくか

石島 具体的に活用すべきニーズやトレンドとは?

河野 たとえば、SNS系ビジネスやスマートフォンなどのカジュアル市場向けゲームも、その1つですね。それらの勢いを拒否するのではなく、それらとどのように向き合っていくかということも、業界の課題だろうと思います。

 しかしそれは、我々がそのビジネスに軸足をシフトするということではありません。我々の軸足や存在理由は、あくまでPS VitaやPlayStation3、PSPを中心としたプレイステーションビジネスにあります。軸足をずらさないまま、新しい市場のユーザーに対するアプローチも続けるということです。

 SNS系ビジネスが勢いを持った今でも、プレイステーションビジネスを始めた意義とは昔から変わらず存在しています。市場が多様化しようとも、われわれの存在理由を示すことに、引き続き注力していくことができるか。SCEとして変えちゃいけないことと変えていかねばならないことを、いかに両立させるかということも、我々の重要なチャレンジです。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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