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満を持して投入する新型携帯ゲーム機「PS Vita」
ゼロからのスタートで、業界の閉塞感ごと打ち破りたい
――河野弘・ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパン プレジデントに聞く

石島照代 [ジャーナリスト]
【第23回】 2011年10月26日
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石島 「SCEとして変えちゃいけないこと」とはなんでしょう

河野 その答えを私がSCEJプレジデントとしての立場で考えた場合、イノベーションや技術を軸にした、最高のエンタテインメントを日本のユーザーの皆様にお届けしていくということです。たとえば、有機ELを積んだPS Vitaの設計にもその軸が生かされていますね。

 私はSCEがソニーグループの一員であるという強みを生かす上で、この軸はずらせないと考えています。ですから、SCEは守りに入ってはいけない。いつでもチャレンジャーでなければいけないんですよ。

 SCEは、2000年以降、据置機市場においてPS2でナンバーワンになったわけですが、この時期にSCEに入社した人たちは、チャンピオンであるSCEしか知らない。私は、当時財務畑にいたので、投資する立場からSCEの黎明期を見ていましたから、久夛良木さんのリーダーシップは、平井(一夫)会長はじめ、マネジメントチームに今も引き継がれ、それがSCEのカルチャーになっていると感じています。

 あのスピリットが一番大事で、失敗してもいいから新しいことをやる勇気を、社員には持って欲しい。そのためにも、社員が新しいことに挑戦できる環境を、整備しているところです。

SCEほど優秀な人材が揃う組織は稀
業界の閉塞感ごと打ち破っていきたい

石島 確かに、SCE黎明期はたくさんの素晴らしい人材に支えられていましたね。久夛良木さんだけでなく、伊庭さんや徳中さん、丸山茂雄さん、佐藤明さんなど、非開発職系のパワープレイヤーも揃っていたように記憶しています。この強靱な組織力もSCEがPS2で業界ナンバーワンとなる原動力となったのではないでしょうか。

 一方で、会社が安定してしまうとどうしても守りに入りがちだし、会社には「手のかからない人」しか残らないようになるのでしょうか。惜しまれつつ亡くなったアップルの創業者、スティーブ・ジョブズのように、能力があっても強烈な個性の持ち主は、日本における企業人生命が短そうな感じがしますね。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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