総選挙に入って、テレビの党首討論を聞いて印象的なことは、台風の目とされる「希望の党」の小池百合子代表が、公約である「大企業の留保金課税の検討」と「ベーシックインカムの導入」について議論を回避しているように見えることだ。
突然の解散で、公約を十分に練る時間がなかった事情ことを差し引いても、この2つをが経済政策の最重要項目と位置付けるである以上以上、代表はきちんとその具体的内容を国民に話す義務がある。「希望」を実現するには当然、財源が必要だ。
内部留保への課税は
懲罰色の強い税制
「ベーシックインカム」については、本コラム第120回「人工知能に仕事を奪われる人々を、ベーシックインカムで救おうという議論の現実味」で検証したように、どう計算しても追加的に50~60兆円の財源を必要とする。しかも誰もが最低限の生活を保障されるような、最低生活費の「無条件」の給付なので、勤労モラルや賃金に与える悪影響は甚大だ。日本を代表する一流企業のトヨタの社長にも定額の給付金を配るという政策が、今日の日本で支持される可能性は極めて低いと思われる。小池代表も、「(まずは)研究会を作って…」と、トーンダウンしている感じもある。
ここでは、もう一つの公約である、大企業の留保金課税について、取り上げてみたい。