青ざめたのは関電。関電はミサイル攻撃の危険が高まっていないと主張している。そこへ、首相でもある安倍総裁本人の口から、北朝鮮の危機が高まっていると訴えられると、自らの主張と矛盾が生まれてしまうのだ。

頭もたげる心配の種

 北朝鮮の脅威について、選挙戦を通して世間の危機感が高まれば、必然的に原発は大丈夫かという心配も広がる。実際、その萌芽は見え始めている。

 高浜原発の他にも多くの原子力関連施設が立地する福井県の西川一誠知事は9月21日、小野寺五典防衛相と面談。原発の防衛について緊急要請した。

 しかし、国と行政の反応は鈍く、迎撃ミサイルPAC3(地対空誘導弾パトリオット)の原発への配備など、具体的な対策には結びついていない。

 他にも、心配の種は尽きない。例えば、原発は新規制基準で、故意の大型航空機の衝突にも対応できる体制を整備しているが、その体制だけで北朝鮮のミサイル攻撃にも対応できるのかどうか。

 また、実際にミサイル攻撃された場合、電力会社は直ちに稼働停止させることになっているが、発射から飛来までの約10分で停止できるのかどうか。挙げれば切りがない。

 裁判所は、世間との認識のズレがないように、報道等を参考にしながら個々の案件を判断していくという。もし世間で原発に対するミサイル攻撃の危機感が高まると、裁判所の判断を左右する可能性もある。そうなれば、関電にとっては悪夢の再来となり、電力業界全体にも影響が及ぶ。

 選挙選が終わる22日まで、電力業界関係者の不安な日々は続く。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 片田江康男)