ほとんどの仕事は、20~30ドルで請け負われることが多い。

 アメリカでは現在、食料品の買い出しや家具の組み立てなど、ちょっとした仕事を頼みたい人がその内容を掲載し、それを見た個人の登録会員が入札し、金額が最も低かった人がその仕事を請け負うという仲介サイト「TaskRabbit」が静かな広がりを見せている。

 仕組みはこうだ。依頼者がTaskRabbitのサイトに仕事を掲載。この費用は無料で、誰でも仕事を依頼することができる。するとその内容や条件、希望する時間帯などを見て、自分ができると思ったTaskRabbit(登録者をこう呼ぶ)が、いくらで仕事をしたいかをオファー。依頼者はオファーしてきたTaskRabbitのなかから、自分の条件に合った人を選ぶことができる。

 支払いは、仕事を掲載するときにTaskRabbitにクレジットカード情報を登録、仕事が終了した時点でそのカードにチャージされる仕組み。TaskRabbit社が約15%のサービス料を差し引いた残りの金額が、仕事を請け負った人に支払われる。

 依頼するほうは誰でもいいが、請け負うほうはまず登録申請書を提出し、ビデオによる面接と身元調査を受け、さらにオンラインでのトレーニングを受けなければならない。こうしたプロセスは全て、仕事を依頼する顧客の安全を守ると共に、TaskRabbitの信用を維持するためだ。

 どんな人々がTaskRabbitとして登録しているかというと、全体の25%は仕事を引退した男性、15%は母親、12%は仕事を持つ若い女性、10%は大学生だという(38%はその他)。

 では、どのような仕事が依頼されているのだろうか? 買い物代行、スリフティーショップ(寄付された中古品を店舗で販売、慈善事業に充てている。アメリカでは不要物をこうした店へ寄付するのが一般的だ)へ寄付するものの運搬、ピックアップと配達、引越し手伝い、掃除などの家事全般、家具の組み立てなど。その他車の修理やデータエントリー、ガーデニング、大工仕事、家庭教師など、おおよそ思いつく限りの多種多様な仕事の依頼がある。

 仕事が完了したら、依頼主はTaskRabbitを評価することができ、その評価はサイトで確認できる。依頼する側はその評価やプロフィールを見て、任意のTaskRabbitに直接仕事をオファーすることも可能だ。

 今年7月には、iPhoneおよびiPod Touch用アプリも完成し、これら端末からも仕事を掲載したり、入札したりすることが可能になった。

 TaskRabbitの創業者は31歳のリア・バスクさん。バスクさんはボストンに住んでいた2008年のある雪の夜、誰かが代わりに犬のエサを買いに行ってくれないだろうか……と思ったのが、創業のきっかけだという。

 TaskRabbitのなかには、月に5000ドルも稼いでいる人もいるという。現在では、ボストン、サンフランシスコ、ニューヨーク市、シカゴ、ロサンゼルス、オレンジ郡(カリフォルニア州)に、TaskRabbitのネットワークが構築されている。

(岡 真由美/5時から作家塾(R))