世の中には、除菌・殺菌・減菌・抗菌といった言葉があふれている。しかし、本当に細菌を殺すためには、密閉された空間で高い濃度の殺菌剤を使う必要がある。それでは利用者に有害だし、現実的ではない。

◆ニセ科学にだまされないために
◇もっとも危険なニセ科学

 EMという言葉をご存知だろうか。新興宗教団体が宣伝している、ある種の微生物群のことである。当初、自然農法のための農業資材として用いられていたEMは、今ではその万能性を強調し、健康飲料や食品、環境浄化製品にまで射程を広げている。

 EMが危険なのは、科学的根拠がないにもかかわらず、学校や環境活動、はては政界にまで入り込み、影響力を行使していることだ。しかも、EM批判をしている人には、嫌がらせ裁判をおこない、批判封じをしている。

◇途方もない主張を野放しにするな

 ニセ科学は、通常の科学から見て、「途方もない主張」をしていることが多い。ゆえに、彼らのうたう途方もない主張に対しては、途方もない証拠をこちらからも要求するべきだ。

 一般的な科学者は、荒唐無稽なニセ科学を相手にしたくないからか、なかなか批判をしたがらない。しかし、公的機関の情報提供を参照したり、ネット上でニセ科学の批判サイトを調べたりすれば、ニセ科学にだまされる危険性はぐっと下がる。

 万能性をうたうような怪しげな言葉があったら、積極的に疑って調べることが必要だ。そうすることで、ニセ科学から自分の身を守るのである。

一読のすすめ

 本書を読めば、世の中に満ち溢れているサプリや健康食品には、手を出さなくなるだろう。ニセ科学に惑わされないための、現代人の必読書だ。科学にくわしくない人にこそ、本書をお薦めしたい。

評点(5点満点) 

著者情報

左巻健男(さまき・たけお)

 1949年、栃木県生まれ。千葉大学教育学部卒。東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了。専門は理科教育。東京大学教育学部附属中学校・高等学校教諭、京都工芸繊維大学教授、同志社女子大学教授などを経て、現在、法政大学教職課程センター教授、「RikaTan(理科の探検)」編集長。著書に『水はなんにも知らないよ』(ディスカヴァー携書)、『病気になるサプリ』(幻冬舎新書)、『面白くて眠れなくなる理科』『面白くて眠れなくなる化学』(以上、PHP文庫)、『水の常識ウソホント77』(平凡社新書)など多数。

(1冊10分で読める要約サービス flier