健康食品や細胞免疫療法などの補完代替医療の中には、効果が疑わしいのに巨額な費用が掛かるものも少なくない。結果を受け止めるのは、患者と家族だ。慎重に検討したい。その現状をダイヤモンドQ編集部が紹介する。
「我が国におけるがんの代替療法における研究」(厚生労働省研究班・2005年)によれば、補完代替医療の利用者に共通するのは、「60歳以下の若年層」「高学歴」「女性」で、「すでに抗がん剤治療を受けている」「緩和ケア病棟に入院中」など厳しい状況にある点だ。
高学歴のがん患者を意識してか、健康補助食品に代表される昨今のがんビジネスは、「免疫機能」「抗酸化」など聞こえの良い医学用語をちりばめ、いかにも科学的らしく装う。「薬事法の関係でこれ以上は……」と期待を煽る曖昧な売り口上に加えて、「○○医学博士推薦」という権威付け、○○先生執筆の「奇跡の成分!××」をアピールする断言・断定調の解説本や雑誌記事、そして「末期がんからの生還! 感動の体験談」(最近はブログもあり)の3点セットがそろえば大音量の警告音が鳴り響いているようなものだ。
さらに21世紀、健康補助食品一辺倒だったこの領域に新しいやり手が登場する。細胞免疫療法だ。
膵臓がん末期の60代の男性は、治療法がないと告げられた後、友人から強く勧められた活性化自己免疫細胞による治療を受けることを決めた。治療費は事前検査や採血、自己免疫細胞の免疫機能を刺激する培養費などを含め、6回/1コースで200万円超。施設からは培養準備があるからと採血前の一括払いを要求された。万が一、途中で治療を中断することがあっても、返金には応じられないとの注意書き付きだった。