希望の党は「改憲賛成」を材料に
安倍政権への仕掛けが可能だ

 さて、野党側に視点を移そう。まず、改選前の57議席を下回る49議席にとどまった希望の党は、大惨敗を喫した。ただし、政局面・政略面で失敗したのは間違いないとしても、「政策別野党再編」を実現したことの意義は小さくない(第168回)。それには、小池知事・前原代表に野党共闘を粉砕されて憤懣やる方ない左派も、一定の評価をしているはずである。なぜなら、左派が今回支持を集めて健闘できたのは、政策面で改憲論者が党内に混じっているという状況がなくなり、スッキリしたからだからだ。

 今後、参議院の民進党や、岡田克也元民進党代表ら無所属議員から、「民進党再合流」という動きがあるだろう。だが、希望の党から移る人は小規模にとどまりそうだ。そもそも、そういう節操のない人の多くは、今回落選しているだろう。それに、共産党との共闘にウンザリしている議員は少なくない。こちらも安保法制や改憲で奥歯に物が挟まったような言い方をする必要がなくなり、政策面でスッキリしたところがあるのだ。

 一度は政権交代かという夢を見てしまったので、意気消沈しているのは無理もない。だが、元々わずか17議席であったと思えば、49議席の獲得は、国会に確固たる足場を築く第一歩になったと言えなくもない。物は考えようなのである。

 前回、選挙後の小池知事の仕掛けの可能性について論じた(第168回・p6)。大惨敗とはいえ、今後の政局に打つ手がなくなったわけではない。安倍首相は自民党・公明党だけで会見に必要な3分の2の議席数を確保したものの、公明党は改憲について、首相の意向通りに動いてくれるわけではない。希望の党は、首相が「最もやりたい政策」である改憲で、一定の影響力を持ち得る立場になるはずだ。やりようによっては、「自公分断」を誘発する仕掛けも可能だ(第161回)。大惨敗に落ち込むより、今できた国会の基盤を生かすことを考えるべきである。

「安全保障を政争の具にしない政治」を
希望の党は強い気持ちを持って実現すべき

 この連載は、「安全保障を政争の具にしない」欧米の自由民主主義国では当たり前の政治が日本でも実現すべきと考えている (第168回・p4)。北朝鮮の核開発、中国の海洋進出、世界的なテロの拡がりを考えれば、世界から笑われるような政争を繰り返す余裕は日本にはないだろう。

 日本は戦後72年、「平和国家」として世界に貢献してきた。もうそろそろ「ならず者国家・日本」のレッテルを返上するために、普通の自由民主主義国になって、シビリアンコントロールが完璧に効いた国家の姿を示し、世界の信頼を取り戻してもいいはずだ(第85回)。