衆議院議員選挙は、自民党が単独過半数を大きく超える284議席を獲得する圧勝に終わった。公明党と合わせれば、安定多数を超える議席を得て、安倍総理の解散総選挙は功を奏したと言えよう。当初、注目を集めた小池百合子都知事率いる希望の党の失速、立憲民主党の意外な躍進、関西における維新の没落の背後に見える有権者の総意と我々が直面する「国難」とは何か。(政治ジャーナリスト 黒瀬徹一)
何の「国難」が突破されたのか
選びようのないものを選ぶ無茶
この解散は「国難突破解散」だ――。
台風とともに永田町に解散風が吹き荒れ、9月28日に召集された臨時国会の冒頭、安倍総理は衆議院を解散した。解散の大義は「国難の突破」。
当初、民進党の前原誠司代表と小池百合子都知事の決断によって、野党再編が期待を集めたものの、その勢いはあっさりと失墜。蓋を開ければ野党第一党の座を、「排除」したはずの立憲民主党にさえ奪われる有様だった。
突然、「選挙をやるぞ」と言われ、野党のドタバタ劇が次々と繰り広げられる中、「さぁ、選びなさい」と言われても、何をどう選べばいいか、戸惑った有権者も少なくなかったろう。「選挙は難しい」と敬遠される方もおられるかもしれないが、正直、今回の選挙は「難しい」というより、「選べるわけないものを選べ」と言われる無茶な儀式なのだ。
結果としては、自由民主党が単独過半数を大きく超える284議席を獲得して圧勝。まさに自らの掲げた消費税の使い道の変更、アベノミクスの継続や安全保障政策を推し進める力を得た形だ。
しかし、筆者の感覚では、今回ほどレベルの低い選挙はなかったように思う。その理由を有権者の選択の結果から考察しつつ、有権者が選挙においてどうあるべきか、について考察した。