そして、希望の党が改憲で影響力を発揮できれば、内政面でも安倍政権に対して主張を通すことができる。本来、小池知事・希望の党が持っている改革的・進歩主義的な方向性の政策を要求できる可能性がある。そして、それができれば、自民党内でアベノミクスに批判的な「ポスト安倍候補」である石破茂元地方創生相、野田聖子総務相らを外部から援護射撃をする形を取り、「自民党内の政権交代」を促す動きの拡大につなげることは不可能ではない(第168回・p6)。

 さらに言えば、左派の動きも封じることができる。おそらく、立憲民主党など左派は、安倍政権にとって話し合いの相手にはならず、今後ますます無視される存在になるだろう。大健闘というが、議席を大きく減らしたのは間違いないからである。やはり客観的に見て、左派は「お前はもう死んでいる」状態なのである(第168回・p3)。

 左派は、これまで以上に「なんでも反対」の金切り声をあげるだろう。だが、希望の党が安倍政権と政策協議をして、国民が求める修正を勝ち取っていけば、左派がこれまで共謀罪などで「なんでも反対」を貫いた結果、法案を無修正で通されてきたことがいかに無意味だったか、国民は知ることになる(第160回)。政策通だった枝野代表が共産党に影響されて、消費税、安全保障政策、改憲などで選択肢を奪われる息苦しさが顔に出るようになれば、彼への熱い期待は萎むことになる。

 希望の党にとって大事なことは、今後国会議員団の代表者が誰になるのかということだ。設立メンバーである細野氏なのか、小池知事の盟友だという樽床信二氏なのか、意外な若手が抜擢されるのかわからない。いずれにせよ、これが政党としての出発なのだという強い気持ちを持ったリーダーが現れることが必要だ。

自民党と共産党の「共闘関係」を打破して
「穏健な保守中道二大政党制」を目指せ

 最後に、今回の総選挙の本当の争点がなんだったのかを指摘して総括としたい。政治学の理論をアレンジして用いれば、「分極的一党優位制」と「穏健な保守中道二大政党制」のどちらを選ぶか、という争いだったといえるのではないだろうか。

「分極的一党優位制」とは、保守に大きく寄った自民党に対して、左翼に大きく寄った小規模な野党が、「なんでも反対」の金切り声を挙げる体制である。なんでも反対の野党に無党派(中流層=消極的保守支持者)の支持は集まらず、自民党が圧倒的多数を築き、政策を無修正で通していく。

 一方、「穏健な保守中道二大政党制」とは、安全保障を政争の具とせず、経済財政・社会保障政策など内政面では、「改革が手ぬるい」「よりよき政策がある」と、保守と中道が競い合って、現実的な政策を作り上げていく体制だ。