類書が多数ある中で、今年1月に出版された『マッキンゼーが予測する未来』は、日本で4万人以上の読者を獲得した。その共著者の一人で、東アジアの情勢に詳しいドッブス氏に日本の課題を聞いた。(週刊ダイヤモンド編集部 池冨 仁)
リチャード・ドッブス/マッキンゼー&カンパニー 英国オフィス シニア・パートナー
Photo by Shinichi Yokoyama

──世界経済で起こり得る出来事の超長期の予測をまとめた著書では、さまざまなトピックを扱っています。その中に「2025年までに世界の上位200の都市のうち46都市は中国圏になる」という予測があります。なぜ、約4分の1が中国になるのですか。

 将来の世界経済の行方を考えると、従来は当たり前のように考えていた「国」という単位ではなく、今後は「都市」という単位が非常に重要になってくるからです。

 私たちの予測では、25年までのグローバル経済をけん引する要因の4分の3は、新興国市場から来るもので、その多くは中国の都市になる。急激な都市化の進行により、国という単位を超えた大きな経済圏が続々と生まれてきます。

──国の単位を超える経済圏とは、どのようなものですか。

 一例を挙げると、中国の北東部に天津(てんしん)という都市があります。

 現在、この都市におけるGDP(国内総生産)はスウェーデンの首都ストックホルムと同じくらいです。ストックホルムは、欧州圏では今後も成長が見込まれる都市ですが、天津のGDPはその勢いを上回るスピードで成長します。25年には、天津はスウェーデンという国と遜色ない経済規模にまで到達すると私たちは見ている。