日本の経営者は1週間シリコンバレーに行け

──ところで、コンサルティングファームは、激務で知られています。日常的には、どうやって調査活動と両立させるのですか。

 私たちの調査活動機関、マッキンゼー・グローバル・インスティテュート(MGI)は年間に12件ほどの調査を行います。MGI活動のリーダーとなるコンサルタントは50%をMGI向けの仕事、50%を通常のクライアント向けの仕事と自分の時間を割り振ります。

 その下で働く、調査案件ごとに関与するコンサルタントは、クライアント向けの仕事を離れ、一定期間だけMGIの仕事に100%コミットすることになります。

──「アップ・オア・アウト」(昇進か退社か)の厳しい社内競争がある組織で、一時的にお金を稼がない人が存在するのですか。

 その通りです。マッキンゼーには、世界中に約9000人のコンサルタントがいます。組織として重視している調査活動である以上、問題なくやっていけるのです。

──なぜ、マッキンゼーは、年間で4億~5億ドル(約450億~約560億円)もの大金を調査活動に費やしているのですか。

 端的に言えば、クライアントに必要としてもらうために、(1)アイデアがないといけない、(2)新しい考え方を知らないといけない、(3)それをどうやってビジネスに適応させていくかというテクニックが必要になる、などからです。

 私たちは、やはり洞察力(インサイト)を得たい。それをグローバルに追求している組織だという言い方もできます。そのためには、お金も、時間も、労力も、惜しむものではありません。お金もうけのためというより、優秀なメンバーと優れた洞察力を生み出すことの方が重要だと考えています。

 マッキンゼーの卒業生は、米国の雑誌「フォーチュン500」で選ばれる有力企業の経営幹部などに転身するケースが非常に多い。

──俗に「マッキンゼー・マフィア」と形容される影響力ですね。

 いや。それは「リーダーシップ・ファクトリー」と言ってほしい(笑)。実際のところ、調査活動ばかりでなく、人材育成にも多額の費用を投じています。その結果として、産業界などで活躍するリーダーを数多く輩出してきました。