保険は最強の利益方程式

 人類が発明した利益方程式のなかで最強なのが保険である。保険、特に生命保険はストック型(継続課金)である。人々の不安という本能的な心理に根ざしている無形のサービスであり、誰もが顧客になりえる。そして皮肉なことに、保険とは、お金を払っている期間になにも問題が起こらなければ損をした気分になるものだ(実際にはよいことであるにもかかわらず)。

 一度契約した顧客は、これまで払ったお金(「サンクコスト」という)を「もったいない」と感じ、さらに契約を継続してしまい、お金を払い続ける。そして保険会社は顧客からの預かり金を担保にして、みずから金融投資を行い、さらなる利益を上げることができる。

 今後、AIによって保険数理がより正確になり、保険料は下がるかもしれない。しかし、保険契約をするのが人間である以上、保険という事業はなくなることはないだろう。

山口揚平(やまぐち・ようへい)
早稲田大学政治経済学部(小野梓奨学生)・東京大学大学院修士。1999年より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと、独立・起業。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供する。2010年に同事業を売却したが、のちに再興。クリスピー・クリーム・ドーナツの日本参入、ECプラットフォームの立ち上げ(のちにDeNA社が買収)、宇宙開発事業、電気自動車(EV)事業の創業、投資および資金調達にかかわる。その他、Gift(ギフト:贈与)経済システムの創業・運営、劇団経営、世界遺産都市ホイアンでの8店舗創業(雑貨・レストラン)、海外ビジネス研修プログラム事業、日本漢方茶事業、医療メディア事業、アーティスト支援等、複数の事業、会社を運営するかたわら、執筆、講演活動を行っている。専門は貨幣論、情報化社会論。NHK「ニッポンのジレンマ」論客として出演。テレビ東京「オープニングベル」、TBS「6時のニュース」、日経CNBC放送、財政再建に関する特命委員会2020年以降の経済財政構想小委員会に出演。慶應義塾高校非常勤講師、横浜市立大学、福井県立大学などで講師をつとめた。著書に、『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』(ランダムハウス講談社)『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』(日本実業出版社)『世界を変える会社の創り方』(ブルー・マーリン・パートナーズ)『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(アスキー・メディアワークス)『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』(ダイヤモンド社)『10年後世界が壊れても君が生き残るために今身につけるべきこと』(SBクリエイティブ)などがある。