巨額の財政赤字で対立軸作れず
財源問題で現実的政策を磨け

 ただそれでも、それだけの財源があれば、相当規模の政策(たとえば高校の完全無償化)が実行できることも確かだ。

 政策の対立軸が、政府の規模をどのようなものにするのかにより分かれることは、すでに述べたところだ。日本でそのような対立軸ができないのはなぜだろうか。

 筆者の仮説はこうだ。

 目の前には巨額な財政赤字がある。まずはそれへの対応を考えていく必要があり、そのうえで高齢化による社会保障充実の財源探しも必要だ。

 これはとんでもない解決困難な問題で、「なかったことにする」のが一番楽だからだ。

 誰もが現実を見ないふりをして解決策を考えようとしないことから、対立軸も生まれない。

 特に野党は政権交代を目指すなら、「自・公」への対立軸を打ち出す必要がある。

 それは、これまで安価な値段でおいしい食事(社会保障サービス)をし続けてきた上に、さらに安い追加料金で豪華な食事(教育無償化など)を食べさせるという政策ではなく、サービスにふさわしい値段を国民に提示することではないか。

 そのためには、財源問題に対する具体的・現実的な政策を磨くことが必要だ。

(中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信茂樹)