ニューヨークダウが上昇を続けていた3月下旬に、イエレン・サンフランシスコ連銀総裁は、講演で次のように話していた。
「米国経済が早期に回復を始めるという考えに理由があるとしても、私はそれにまったく確信が持てない。われわれのほとんどは、今回の景気悪化の深さを予測することに失敗してきた。バーナンキFRB議長ですら、最近、自分の予測記録をワシントン・ナショナルズの成績と比較している」
ワシントン・ナショナルズとは、FRBのあるワシントンDCに本拠地を構えるメジャーリーグのチームのことだ。昨年3月に完成した同球団の新球場「ナショナルズ・パーク」は国会議事堂の南方向にある。
昨年の開幕戦ではブッシュ前大統領が始球式を行なった。ナショナルリーグ東地区において過去4年で最下位が3回、下から2番目が1回というチームだ。
イエレン総裁は、会場を和ませようとして同球団の名を挙げたのだろう。バーナンキ議長自身、3月10日のスピーチで笑いを得ようとして「私の予測記録は、ワシントン・ナショナルズの勝率とほぼ同じだ」と語っている。
しかし、笑いにくい部分もある。最下位だった同球団の2008年の成績は、59勝102敗で勝率3割6分6厘。これは過去3年間の全リーグ全地区のチーム成績において最悪の結果なのだ。