もう一つの動機は、「この世界を自分の要求に沿ったものにしたい」という欲求です。ビル・ゲイツはマイクロソフトを創業することによって、IT分野を制覇することに成功しましたが、今、彼は財団を通じて、医療分野など、別の分野を支配したいと考えています。

佐藤 国を介すのではなく、自分の力で直接、世界をコントロールしたいという欲求からですね。

ジョーンズ 慈善活動というのは、実質的には未来への投資です。アメリカ国内ではビル・ゲイツやウォーレン・バフェットが儲けたお金を慈善活動に使っていることに対して賛否両論があります。「彼らは自分の力で巨額のお金を稼ぎ、そのお金で未来へ投資したいというのは結構ではないか」と支持する人もいれば、「彼らがやっていることは、民主主義に反することだ」と批判する人もいます。

佐藤 民主主義に反するとはどういう意味でしょうか。

ジョーンズ 彼らは莫大な財産の使途を自分一人で決めることができます。問題は「国家予算を超えるほどのお金の使い道を一人で決めていいのか」ということです。もしかしたら他のことに使ったほうがより多くの人々のためになったかもしれませんし、人々が使い道を投票で決めたほうが、もっとよいことに使えたかもしれません。

 彼らはどうやってお金持ちになったのでしょうか。お金が天から降ってきたわけではありません。消費者が彼らの会社の製品やサービスを買ってくれたから、お金持ちになったのです。マイクロソフトのソフトウェア、ウォーレン・バフェットの投資先が製造するキャンディーなどを買ってくれた人々のお金が蓄積して、彼らのもとにあるわけです。

 また彼らは国際的な税金システムからの恩恵も受けています。多くの大企業は節税ためのスキームを確立させていますから、実際、アメリカに支払っている税金はわずかです。こうして儲けたお金を慈善活動に使っていいのだろうか、という意見もあるのです。

佐藤 貧富の格差の拡大については、多くのキリスト教の指導者が懸念の声をあげています。