伝わってくるのは、その目的であり、意図です。意図が伝われば、会話は成立するのです。

 仮に、SheとHeを言い間違えているのか、本当に女性のほうを指しているのかわからないようなとき、もしそれが大切な情報であれば聞き返せばいいのです。三単元のsがなくても、その文章が現在の話か過去の話かがわかれば問題ありません。単語はいくつか正しいものでなくても、文脈からだいたい言いたいことはわかるものです。

 目的を達成するためには、間違うことを恐れないこと。それが、英語で仕事をする力をつけるために、まず必要なことです。

 私もそうでしたが、こうした意識を取り除くのは実際には厄介です。しかし、これも意識次第です。たとえ間違っていても、言いたいことを伝えることが何よりも大切です。目的はあくまでも、仕事をすることなのですから。

 もう10年以上も前ですが、ある外資系企業のトップインタビューを読んだことがあります。その人は、組織の課題として、英語でのコミュニケーション力強化を挙げていました。さまざまな国の人がいるその組織について、彼は「うちの共通語はブロークンイングリッシュだ」ということを言っていました。印象的な言葉です。

 つまり、いろいろな国の人が集まって仕事をするときに、英語が語学として正確であることは重要ではなく、社員がやりとりできることが重要だ、ということです。まさに「伝われば上等」なわけです。

 かつて、私の上司であったアメリカ人が Tomorrow のスペルを Tommorow と書いていたのを見たことがあります。そんなものです。

 私たちの日本語も、常に語学として正確に話せているでしょうか?それを専門とした職業に就いていない限りは、おそらく本来の意味や文法からはかなり違っているはずです。


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