仕事に必要な英語とは、流暢な英語やネイティブのような表現力ではありません。必要なのは「意志を伝えるスキル」と「同意を得ながら進めていくコミュニケーション能力」です。それは、グローバル化が進むこれからの日本のビジネスシーンを生き抜いていくために、広く必要な能力でもあるでしょう。
英語に対する発想を変えてみよう
「間違っていても、伝わればいい」という意識が大事
まず、発想を転換してみましょう。
ビジネスで英語を使おうとしたとき、ネイティブに近い表現をしなければいけないと思い込みがちです。もし英語の力がついてネイティブに近くなれるのであれば、それにこしたことはありませんが、それを目指して英語に高いレベルを求めてしまうのは大きな障害になりかねません。
問題になるのは「間違ってはいけない」「間違ったら恥ずかしい」という意識です。
最初は、私も「間違ってはいけない」という思いにとらわれ、会議では間違っていないと確信できるときだけしか発言していませんでした。しかし、この10年ほどの間に、欧米人だけでなく、アジアの人々と仕事をするようになって、私の意識も大きく変わりました。
英語を母国語としないアジア人の同僚は、間違うことなんてまるで気にしません。英語の細かいところは間違っても全然構わないのです。
中国人は、まさに格好の例です。
彼らは英語環境下でも積極的に仕事をします。言いたいことを言って、思い通りに物事を進めていく、大変優秀な能力を持っています。中国語は音の数が多く、文法も英語に似ているから、中国人にとって英語は難しくないとはよく言われることです。確かにそうかもしれません。
しかし、話している言葉を注意して聞いていると、中にはひどい英語をしゃべっている人がいます。単語は正確でないし、三単現のsもなく、受身も必ずしもBe+過去分詞にはなっていません。でも、そんなことは実際まったく問題になりません。