LIFE311
2011年3月11日の東日本大震災における津波被災地への支援としてmore treesが中心になって行なった復興支援活動。被災地近隣の自治体の木材を使用した仮設住宅 を建設し、木質ペレットや薪を燃料にしたストーブも導入。地域の林業と経済の再生も目指した活動で、岩手県住田町にて実施中。

 

─森と言えば、アルバム『async』にはニューヨーク郊外の森を歩く音が主役になった曲も入っています。また、それ以外にもたくさんの自然の音を録音して使用していますよね。

 自然の音はいちばん複雑な音。人間が作ることがなかなか難しい音でもある。自然の音に耳を傾けることが多くなっています。

─『async』ではピアノを楽器として鳴らすのではなく、自然物として鳴らしたいとも。

 そう。ピアノという楽器も、もとはといえば自然物の集まりでできている。自然のものを集めて、人間がむりに造形したもの。そうした人工物であるピアノも、人間が手を触れないで放っておけば、何百年かかけて分解されて自然のものに還っていく。

 錆びたり腐ったり、形も崩れて朽ちる。たとえば、ピアノという楽器は定期的に調律をしないでいると音程が狂っていく。しかしこの音程というのは人間が勝手に決めただけで、自然にとってはなにも狂っていない。

 むしろ自然な音とも言えるので、ぼくとしてはピアノに自然な音を出させてあげたいという気持ちになってきた。

─なるほど。

 なので、ぼくは自宅に置いているピアノの調律をすることをやめました。

─えっ!

 狂うにまかせようと思って。いや狂うのではなくて、自然に戻ろうとしているだけなので、その音を出してあげようと。なので、今後作られるぼくのアルバムでは調律の狂ったピアノの音が出てくるかもしれません(笑)。楽しみにしていてください(笑)。

―たとえばピアノ・ソロのコンサートをやるときはどうするのですか?(笑)

 どうしようかなあ。困ったなあ。ぼくのコンサートでのピアノの音が調律がおかしい音だったらみんなイヤかな。しかし、調律が狂ったピアノの音というのもいいものなんですよ。

>後編(10/31公開予定)へ続く