投資の「偉人」が日本にいない理由
大型書店に行って、投資に関する本が並んでいるコーナーを眺めてみよう。投資の方法を解説する実用書(筆者が書いたものを含む)や、内容自体の信憑性が乏しい「儲かります!」とあおる“駄本”に加えて、成功した投資家の投資ノウハウや人となりについて書かれた本の一群が目につく。
題材として最もポピュラーなのは、米国の投資家で、マイクロ・ソフト創業者のビル・ゲイツ氏としばしば世界一の富豪の座を争う、ウォーレン・バフェット氏だろう。Amazonの書籍の売り上げランキングには、「ウォーレン・バフェット」というカテゴリーがあるくらいだ。
日本にも、相対的に成功した投資家はいるし、彼らに関連する書籍が数多くあるのだが、残念ながら、米国を始めとする外国の大投資家と比較すると「小粒感」が否めない。
これは、(1)ホームマーケットである日本株のパフォーマンスが長年さえなかったこと、(2)金融行政が大手金融機関傘下の運用会社を優遇したこと、(3)日本の運用会社が組織運用指向で“スター運用者”を作らなかったこと、などの影響だと思うが、運用ビジネスを振興する上ではいささか残念なことだった(今後に期待したい)。