付き合う人で未来は変わる!
35歳を境に変わった人付き合い
渡辺:『30代を後悔しない50のリスト』にある「付き合う人で未来は100%変わるから、誰と付き合うのか真剣に考えるべきだった」というのは、特に共感しました。私自身も実は35歳まで、ずっと雑誌の編集の方とか、業界の方だとモデルさんとか、そういう人たちばかりとしか付き合っていなかったんですよ。でも、前編でもお話ししたように、私はたまたまファッションディレクターに抜擢されて、ものすごく売れなかったころの『CanCam』を売るようにと編集長に任命されて、がんばって『CanCam』ブームを巻き起こしました。その後、2006年にファッションディレクターを退任したんですけれど、そのとき、そのあとに付き合う人を考えるべきだったと思っています。
私は何のコンテンツを作るとおもしろいかとか、そんなことばかりをずっと考えてきたんですけど、それが一体どうやったらお金になるかということ、お金を稼ぐということが全然わからなかった。でも、『自分の会社をつくるということ』の著書もあり、リクルートご出身でもある、トレンダーズ株式会社代表取締役の経沢香保子さんと仲良くさせてもらうようになって、彼女から「佳恵さんがやっていることはとってもいいと思うけど、それはいかにお金にならないか」とか、それが「結果として会社を立ち行かなくさせてしまうので、それは経営者としては失格ですよね」とか、ずっと言われていて、なるほど、そうか、と。これまでの付き合いの中では、そんな視点でアドバイスをしてくれる方はいませんでした。
大塚:どちらかというと、渡辺さんがいらしたのは「おもしろい」を優先するアーティストの世界だったんですね。
渡辺:そうなんです。どちらかというとそういう世界でした。経沢さんからは、「もし佳恵さんが稼働しなくなったときでも、会社にお金が入ってくるシステムをつくるのが会社というものであり、それを考えるのが経営者でしょ」とか、いろいろと教えてもらいました。
大塚:確かに、その場その場でクリエイティブにやっていくのもいいけれど、経営者はお金が生まれるビジネスの仕組みをつくらないとダメですよね。でも、そういう厳しいことを教えてくれる付き合いというのはとても大切です。本でも書きましたが、実はほとんどの人の交流関係というのは限られているんですよ。同じような大学を出て、同じような会社に勤め、同じような場所に住んでいる人同士は、自然と考え方も生活スタイルも似てくる。でも、それだけでは、人の成長にも限界があるわけで、それを乗り越えるには、やはり異質な視点を持ち運んでくれる人との付き合が必要なんですよね。
渡辺:はい、そういうことを教えてくれる人が、いままで誰もいなかったので、すごく視点も変わりました。それから彼女に会うまではビジネス書は一切読んだことがなかったんですね。ファッション雑誌と小説くらいしか読んだことがなかったんですけれど、はじめてビジネス書を読もうと思うようになって、いまは大好きでよく読むようになりました。彼女みたいなビジネスの第一線で生きているような人たちと話をさせていただいて、よかったなって思うんですよ。