もっとも、今年4月に公表されたUSTRの外国貿易障害報告書には、この他にもコメ・小麦・豚肉・乳製品・柑橘類・水産物といった農産・畜産関係から、金融・電気通信・法務・教育などサービス業関連などに至るまで、幅広い分野で「貿易障害が存在する」と指摘されている。

 具体的な譲歩の要求が上記3項目以外に広がることは十分に有り得よう。

 これらのリストは2016年のTPP協議の際に既に言及されていたものだが、具体的な対日交渉で、トランプ政権が前政権以上の強烈な圧力を掛けてくることはほぼ確実である。

 ライトハイザ―USTR代表は、レーガン政権下でUSTR次席代表として対日交渉で剛腕ぶりを発揮し、日本に鉄鋼輸出の自主規制を呑ませた「実績」がある。今回も妥協を急ぐことなく、じっくり時間をかけて日本を締め上げる作戦なのかもしれない。

円安・為替問題で日本は
通貨政策の「監視対象」国

 日米間の経済的な課題は、通商問題に限定されるものではない。

 為替レート問題は日本政府にとって触れてほしくない話題だろうが、米国はユーロや人民元と同じように、日本円の割安水準に対して常に不満を抱いている。

 今年4月に発表された米財務省の為替報告書で、日本は中国・ドイツ・スイス・韓国・台湾と並んでその通貨政策が「監視対象」と位置付けられ、「円は過去の平均に比べて20%弱い水準にある」と明記されていた。

 今春のドル円相場は110円前後であり、20%の円高調整となれば約90円となる。現在は114円と若干ながらも更なる円安方向へと動いている。

 今年のドルは総じて軟調傾向にあり、ユーロは対ドルで年初の1.04ドルから一時は1.20ドルと約15%上昇、人民元も6.96元から一時6.43元まで約8%上昇するなど「監視された通貨」が上昇する中で、円は下落傾向を辿っているため、米国がこの問題を再提起し始める可能性は否定できない。