「参加者が自分の部署の都合ばかり主張して、物事が決まらない」「頭ではわかっているふりをしているようだが、なんだか腹落ちしていない雰囲気が伝わってくる」「そんなこんなで、なんだか会社の会議や打ち合わせがうまくいっていない気がする」――。もし、読者のみなさんがそんなことを最近感じているとしたら、それは必要な「会話」や「対話」の段階をすっとばして、いきなり「議論」を始めてしまっているせいかもしれない。

何か事を起こす際の
会話と対話と議論の関係

 図1は、複数の人が協力して何か事を起こす際の、「会話」「対話」「議論」の関係を図示したものだ(『対話する力』(中野民夫、堀公俊著、日本経済新聞出版社)の図表や記述を基に、ワークス編集部で作成した。

 いちばん下で、土台作りに当たるのが「会話」だ。互いの人となりを知り、思いや気持ちを通わせて、一緒に活動できる関係性を築き上げる。「会話さえ成立しない相手と、深い対話や議論は不可能」ともいえる。

 次が「対話」の段階だ。そもそも論を話し合い、「あなたがそういう考えを持つようになったのは、そんな経験があったからか」「あなたの主張には、そういう背景があったのか」と、互いにしみじみわかり合う。