俺のフレンチはレストラン業態で総合、料理の満足率が共に1位、利便性、コスパの満足率は共に2位。全業態を対象にしたランキングでは、総合満足率3位、料理とコスパの満足率は共に2位だ。

 それでも、チェーンの拡大では、いきなり!ステーキの方がはるかにスピード感を持っていた。ビジネスモデルが俺のシリーズよりも拡大しやすいものだったからだ。

前菜なしで客の回転が速い
目の前で切るから仕込み不要

 来店客の数を増やせる上に回転が速い立ち食いスタイルという点では共通するが、俺のシリーズがフレンチやイタリアンをワインなどと共に提供するのに対し、いきなり!ステーキは前菜なしでいきなり肉にかぶりつくのが醍醐味。肉を平らげてさっと店を出るから、客の滞在時間はさらに短く、回転率はより高い。

 俺のシリーズが一流シェフによる料理を売りにしたのに対し、調理は肉を切って焼くことに特化したので人材を集めやすく、人件費も抑制できた。

 また、俺のシリーズが仕込みに時間を費やすのに対して、仕込みは要らない。前菜などの手の込んだものがなく、肉は注文に応じてその場で切り分ける。

 外食業界の食材原価率の相場が30%であるのに対し、格安を売りに価格を抑えたため、原価率は50~60%ものレベルになる。その分、客の回転率を高めて客数を増やし、利益を出す。ステーキに特化したシンプルなメニュー構成なので、店舗のオペレーションを効率化できた。

 肉を焼くだけなら他社も参入しやすそうだが、「簡単そうに見えるけど、高いと思いますよ。うちの参入障壁は」と一瀬社長は返す。

 客は調理場のそばのカウンターで肉の種類とグラム数を指定して注文する。カットされた肉を載せたはかりの目盛りが示すのはほぼ注文したグラム数。注文通りにオーダーカットする技術を習得させるための育成が参入障壁となる。