「内部留保」言及で産業界に衝撃、企業統治改革が再始動Photo by Takahisa Suzuki、picture alliance/アフロ

10月16日、コーポレートガバナンス(企業統治)改革の行方を占う有識者会議が再始動した。全上場企業に対して独立性の高い社外取締役2人以上の選任を促すルールの導入から2年半弱。産業界にさらなる衝撃を与えそうな論点が浮上している。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)

 1年弱の休会状態を経た10月16日、日本のコーポレートガバナンス(企業統治)改革の行方を占う有識者会議が再び動きだした。

 振り返れば、2015年6月に東京証券取引所は、全ての上場企業に対して独立性の高い社外取締役を2人以上選任するように促すルールなどを取り入れた、「コーポレートガバナンス・コード」(企業統治原則)を導入。産業界に衝撃を与えた。

 そのコードをまとめた会議の流れをくむ有識者会議が久しぶりに再開し、さらなるガバナンス改革に向けて再始動したのだ。

 その会議とは、金融庁と東京証券取引所が事務局を務める「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」だ。

 この長い名前には、それぞれ別に議論していた二つの「コード」を一体運用しようという、ガバナンス改革の経緯が込められている。

 会議名にある「スチュワードシップ・コード」は機関投資家の行動原則とも呼ばれる。機関投資家には2種類あり、資産を保有する公的年金や企業年金などの基金と、その基金が資産運用を任せる信託銀行や保険会社などの運用会社に分けられる。このコードでは、機関投資家が企業と建設的な議論をする「物言う株主」となるように促す。