マーケティングなき押し売りは
かつての「アメ車」と同じ

 日本は親米度の高い国だが、かつて左ハンドルで図体が大きく、燃費の悪いアメリカ車が、日本用のカスタマイズをしないまま、日本市場に来て大失敗したことは、誰しも知っているだろう。日本人からしてみれば、いくらアメリカのことが好きでも、そんな仕様の車に日本では乗れるわけがないと感じるのは当然だ。「アメリカの押し売り」だからだ。

 同じことを、外国人は「日本の押し売り」について感じているはずだ。マレーシアは東南アジアの中でも、相当の親日国だ。好きな国の第1位は、自国を抜いて日本になるくらいなのだ。だがそれに胡坐をかいて、マーケティングなしで日本を売り込んでも、うまくいくはずがない。

 先日、日本の老舗着物屋と、シートベルトを使ったバッグなどを生産するマレーシアの社会起業家が組んで、新しい製品を開発。その発表会を、日馬国交60周年イベントとして行った。

 そのイベントはかつてない盛り上がりを見せた。何よりもマレーシアメディアの取り上げ方が、他の周年イベントとは比較にならないくらい大きかった。日本の老舗伝統企業が、マレーシアのベンチャー企業と意気投合し、真の意味で「日本とマレーシアのコラボ」を実現してみせたことが、現地の人々にとって大きな喜びとなったのだ。

 それは、マレーシアの文化を深く知り、マーケティングをしたうえでのコラボーレーションだから成しえた成功だと筆者は考えている。

 日本製品は優れている、日本文化は素晴らしい。筆者もそう感じる。だが、それを世界に知ってもらうには、現地の人々の文化や考えを真摯に知ることがまず必要なのだ。