遺言に自分の想いを!
書かなければ気持ちは伝わらない

 ここで注意すべきは、当初、姉妹が各2分の1を相続することにしていた旧不動産を売却し、その資金で買ったマンションをすでに月子さんに生前贈与されたことです。

 そのことは、まだ星子さんにはお話しされていないとのことでした。

 そうであればなおさら、陽子さんの気持ちが星子さんにわかるようにしておいたほうがいいでしょう。のちのちのことを考えたら直接伝えるのが一番ですが、少なくとも遺言付言に陽子さんの考えや想いを書くことをアドバイスしました。

 もちろん、遺言本文の中で星子さんの法定相続分相当の金融資産を相続させると明記することが、争族にさせないための前提条件です。

 このようにお話しすると、陽子さんは、月子さんと顔を見合わせ、「やはり餅屋は餅屋ね。先生にお任せします。これで今夜からぐっすり眠れるわ」と大きく頷かれたのでした。