「インフレ率2%超え」の内実をサンフランシスコ地域に見る筆者が飛行機の中から撮影した米サンフランシスコの遠景 Photo by Izuru Kato

 10月下旬の米国出張の際に、サンフランシスコからシリコンバレーにかけてのベイエリアに立ち寄った。ここはシリコンバレーの高額所得者が多い地域で、平均年収は全米平均の1.6倍といわれている。

 それが影響して、生活コストも全米でトップクラスの高さだ。ITエンジニアではない一般の人々が特に嘆いていたのは、住宅コストの異様な高さである。米S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数で見ると、今年7月の全米の住宅価格は20年前に対して124%、サンフランシスコでは230%も上昇している。

 家賃も爆騰している。北米で賃貸不動産情報サイトを運営する米Zumperが10月に発表した都市別の家賃の中央値ランキングによると、1ベッドルーム(1LDK)では、全米1位がサンフランシスコの3480ドルだった。

 最近の若いITエンジニアたちには郊外の住宅地よりも、レストランやパブなどのナイトライフを楽しめるサンフランシスコ市内に住みたがる傾向がある。このため、人材確保を狙ってオフィスを市内に移すハイテク企業も増加中だ。その結果、家賃だけでなく、オフィスや店舗の賃貸料も市内では高騰を見せている。

 インフレ率はどうなっているか。サンノゼ、オークランドを含むサンフランシスコ地域(以下、SF地域)の8月のコアCPI(食品とエネルギーを除いた消費者物価指数)は、前年比で3%の上昇だ。全米の1.7%上昇よりも高い。