親会社の山崎製パンから
「続けた方がいいよ」

 少しばかり照れの入ったほほ笑みとは裏腹に、ヤマザキビスケットの飯島茂彰社長が口にした言葉はどぎついものだった。

JリーグYBCルヴァンカップで優勝トロフィーを手渡すヤマザキビスケットの 飯島茂彰社長

「今は瀕死の状態(笑)。最大の危機ですよ。特にリッツ、オレオなどの商品の売り上げがなくなりましたから。概算で100億円がなくなるっていうレベルですから」

 ヤマザキビスケットの年商は390億円ほど。だから、「ナビスコ」のライセンス契約解消に伴って売り上げが100億円も減少した影響は甚大だった。それだけに、改称されて生まれ変わったルヴァンカップについても、飯島は「スポンサーから降りる判断もあり得た」と明かす。続けるべきかどうか、思い悩む飯島ではあったが、彼の背中を押したのは親会社にあたる山崎製パンだった。

「親会社のヤマザキ(山崎製パン)の方から続けた方がいいよということを言ってもらいました。続けてきたことの意味について、親会社の方でもプラスにとらえてくれている人はかなりいましたし、実際に商号が変わって、今もやっていますけれど、なんとか継続して支えられるという見通しが立ちましたので。今となっては、やめると言わなくて本当によかったと思っています」(飯島)

「ナビスコ」ブランドの消失とそれに伴う看板商品と売り上げを失う中、経営判断を誤れば会社が立ち行かなくなる。だから、スポンサーから撤退するとの判断を下したとしても、それは誰に責められるものでもなかった。ところが、反対する声が親会社から出てこなかったのは、飯島とJリーグが培ってきた25年という歴史の重みがあったからこそだ。