1987年に開始された、日本テレビによる完全中継の効果も大きい。1区間20キロメートルほどを10人でタスキをつないでいくレースには、さまざまなドラマがある。ごぼう抜きあり、大失速あり。フラフラになりながら必死でたすきをつなごうとする選手の姿にも、見る者は感動する。

 一方、激闘を制したメンバーの表情には、大きな達成感がある。そうしたシーンを見て競技を始める選手も多く、誰もが箱根駅伝を走ることを夢見て、関東の大学を目指すわけだ。

 テレビ中継以前は、関東以外の大学も全日本で好成績を収めていた。1979年に行われた第10回大会では福岡大学が優勝。12回、13回大会でも福岡大が連覇しているし、1986年の第17回大会は京都産業大学が制している。

 また、全日本の第1回大会は、優勝こそ関東の日本体育大だったが、2位=福岡大、5位=中京大、6位=大阪商業大、7位=大阪体育大、8位=九州産業大、9位=同志社大と、10位までに関東以外の大学が6校入っている(関東の大学の出場枠が6校だったこともあるが)。

 全日本では、その後も京産大、福岡大、中京大、大体大などは上位に食い込むことが多かったが、箱根駅伝がテレビ中継され、注目を浴びるようになってからは成績は下降していった。テレビ中継が長距離ランナーの“関東一極集中”を加速させたといえる。

九州や関西にも有望高あり
中でも注目は皇學館大学

 とはいえ、箱根駅伝の規則が見直され、関東以外の大学にも出場の可能性が与えられれば、こうした流れも変わるだろう。

 例えば九州の高校生ランナー。遠い関東の大学に進学して競技を続けるのは不安もあるだろうし、親の負担も大きいはずだ。だが、実績のある福岡大や全日本の常連になっている第一工業大(鹿児島県)で箱根を目指すという選択肢が生まれるわけだ。関西も同様で、伝統校の京産大や最近力をつけてきている立命館大、関西学院大、大阪経済大を目指す有力ランナーも出てくるだろう。