選手は誰でも可愛い。すぐにでも助け舟を出してやりたいと思うのだが、バッターボックスにいる選手のもとへ足を運び、肩に手を置いて「頑張れ」と励ましてやることはできない。

 野球は9人対9人で戦うチームスポーツだが、実際は投手と打者による1対1の勝負である。しかも、投手の指先をボールが離れると、コンマ何秒で勝負がついてしまう。

 そんな一瞬の勝負に、長々とアドバイスしている時間はない。

 一般社会でもそれと同じような場面があるはずだ。
  若手もベテランも関係なく、お客さんのところへ一人で営業に行ったり、会社の責任者として取引先などへ一人で行かされたりすることもあるだろう。

 会社を背負って、勝負を背負って、たった一人で複数の相手に立ち向かう場面では、緊張感とともに孤独感を抱くだろう。その孤独感は、「一人で過ごせること」とはまったく意味合いが違う。

 孤独に勝てなければ、勝負に勝てないのだ。

 

――明日は、野球選手にもビジネスマンにも共通する、自らが戦う「3つの敵」について語ります。(連載全4回、まとめ記事作成・編集部) 


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