なぜ落合博満の言葉は、多くの人たちの心をつかむのだろうか。

3度の三冠王を獲得し、監督時代就任8年でリーグ優勝4回、
2011年は球団初の2年連続リーグ優勝を果たす等、脅威の数字を残し、
圧倒的に「結果を残した人物」として、今もテレビ・講演等引っ張りだこだ。

「私は野球しか知らない」という落合氏の著書は、技術論や組織・戦略論、勝つための理屈など、あくまで自身の経験してきた「野球」しか語っていない。

しかし、落合氏の言葉に「出会った」人たちは、自身の仕事や人生に当てはめ、多くの共感と感動、学びを得ている。

現在、42万部を突破のベストセラー落合博満著『采配』の中から、多くの読者の心をつかんだ「言葉」を、実際に届いた彼ら声とともに紹介していく。(まとめ/編集部)

落合博満「自分・他人の才能の伸ばし方」なぜ落合博満氏の言葉に人々は共感するのか書籍『采配』は2018年7月現在、
42万部超えのベストセラーとなっている。
(写真は30万部突破時の大阪の電車内の様子)

なぜ落合博満氏の言葉は人々の心に響くのか

 自身の才能をいかにして磨くのか、「勝つため」の人材育成、自立型人間の育て方、組織づくり、勝負の方程式とは…。

 そのテーマはあくまで落合氏がこれまでやってきた「野球」についてであるが、物事の本質をついた落合氏の考えから、多くの人が自分の仕事や生き方のバイブルとして本書を読み解いている。

 とりわけ、「自身の才能の伸ばし方(個の伸ばし方)」「人材育成(他人の才能の伸ばし方)」については、多くの人が落合氏の考え方に共感学びを得ているようだ。

 その見出しを眺めるだけでも、ヒントが得られるという。

 例えば以下のとおりである。

「自分で育つ人」になる=自身の才能の伸ばし方

・孤独に勝たなければ、勝負に勝てない
・向上心より野心を抱け
・「嫌われている」「相性が合わない」は逃げ道である
・「心技体」ではなく「体技心」
・明日の「予習」ではなく、今日経験したことの「復習」がすべて
・大きな成果を得るためには、一兎だけを追え
・一流には自力でなれるが、超一流には協力者が必要
・30代に何をするかで、40代が決まる

どうやって才能を育て、伸ばすのか=他人の才能の伸ばし方

・ミスは叱らない。だが手抜きは叱る
・欠点は、直すよりも武器にする
・最初に部下に示すのは、「やればできるんだ」という成果
・相手の気持ちに寄り添いながら、自分の考えを伝える
・「見なくてもわかる」で、確実に成長は止まる

ひとつだけ、『采配』の内容を紹介する。

孤独に勝てなければ、勝負に勝てない

(以下、書籍『采配』より転載)

 野球は9人対9人で戦うチームスポーツだが、実際は投手と打者による1対1の勝負である。しかも、投手の指先をボールが離れると、コンマ何秒で勝負がついてしまう。

 そんな一瞬の勝負に、長々とアドバイスしている時間はない。

 一般社会でもそれと同じような場面があるはずだ。
  若手もベテランも関係なく、お客さんのところへ一人で営業に行ったり、会社の責任者として取引先などへ一人で行かされたりすることもあるだろう。

 会社を背負って、勝負を背負って、たった一人で複数の相手に立ち向かう場面では、緊張感とともに孤独感を抱くだろう。その孤独感は、「一人で過ごせること」とはまったく意味合いが違う。

 孤独に勝てなければ、勝負に勝てないのだ。

(転載ここまで)

 ちなみにこの言葉は、厳しい現場で働くビジネスパーソンや、中学の部活の部長をやっている生徒からも「自身の励みとなった」という読者ハガキが届いている。

落合博満「自分・他人の才能の伸ばし方」なぜ落合博満氏の言葉に人々は共感するのか読者ハガキの一部。10代から80代まで年齢も性別も幅広い読者より、熱い感想の言葉が今も編集部に届く。

それぞれの立場によって、読み解き方が異なる

 落合氏の言葉は、シンプルで本質的である。ゆえに、自身が置かれている状況に照らし合わせて、「読み替え」ができる。読者ハガキには、さまざまな立場の人からのメッセージが届いている。

○勝つための理由がしっかりと書いてあった。自分のなやみについての答えが書いてあったので、夢中になった。今、自分が何をすべきなのかについてもしっかり書いてあった。
本書を読み、自分の進む道に一歩踏み出せた気がする
(広島県・中学3年生)

○落合氏のマネジメント手法がとてもわかり易く書かれていて、ビジネスにおける実際のマネジメントに十分活用できるものであった
(大阪府・47歳)

○組織を強くするために求められるもの、今欠けているもの、してはいけないことなどをシンプルに、かつ説得力ある内容で綴られている印象(愛知県・42歳)

○落合さんが実践に基づいて発する文言、人との接し方、人間としての生き方。とても参考になりました。(鹿児島県・61歳)

○落合さんはオレ流と呼ばれているが、普通の考えをもっていて、それを実行できる人なんだと思いました。なかなかそれをできる人はいないですが、良い話を聞けたと思います。(東京都・29歳)

○仕事や生きていく上でとても参考になった。落合氏の考え方の軸が自分の軸と重なり、少しだけ自分に自信が持てた。(福岡市・25歳)

○孤独についてくわしく書いてあり、びっくりしました。向上心についてもとても分かりやすくてとてもすごい人だなと思いました。(栃木県・12歳)

 邪念を振り切り、今この瞬間に最善を尽くす。

 この言葉は、落合氏が本書で語る「監督の采配」とは何かについてである。
 自分自身の人生を「采配」したい人が、本書を手にとり、落合氏の言葉の中から自分だけの「言葉」を見つけ出してもらえればと思う。