週刊ダイヤモンド11月18日号の特集は「右派×左派 ねじれで読み解く企業・経済・政治・大学」。300人近い国会議員を関連団体に擁し、会員数は約4万人――。今や名実ともに日本“最強”の右派組織に膨張した日本会議。だが関係者の証言によれば、膨張したが故の組織の脆さも見えてくる。かつて参議院のドンとして君臨し、日本会議の設立に関わった元自民党参議院議員の村上正邦氏にその内実を聞いた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)
人間的に信頼の置けない人たちが
日本会議の周辺にいる
――村上さんは日本会議の設立に関わりましたが、今は距離を置いています。なぜでしょうか。
自然にそういう形になったんです。というのは人間的に信頼の置けない人たちが日本会議の周辺にいるから。国会議員は日本会議に入れば、選挙で票が取れる。確固たる信念を持って日本会議に入っているわけじゃない。だから信頼が置けない。自分の全てを投げ打ってでも自主憲法の制定をやり遂げる国会議員は何人いるだろうか。常にそんな疑問を持ちながら、僕は冷ややかに見ているんです。
――疑問を持った具体的なきっかけががあるのでしょうか。
メンバーを見れば分かる。僕が推薦したメンバーがいるが、そうじゃない人もかなり増えている。僕の憲法問題の原点は、生長の家(創始者)の谷口雅春先生の教えにある。ただ単に、今の憲法は米国製の憲法だから改正すべきだという単純な話ではない。今の日本会議には「日本人の手によって日本の憲法をつくるんだ」という自主憲法を制定するという気概がない。僕はそれだけでなく、自主憲法の制定によって日本をどういう国にするのかをもっと真剣に考えないといけないと思っている。
――今、生長の家は日本会議と距離を置いています。それも同じ理由からでしょうか。