「お弁当にもハヤシライスですか?」
「そーなんです。子どものころから大好きなんです」
岩上弘数さん(35歳)が嬉しそうに答える。
カレーよりも断然、ハヤシライス派。独身時代は、大鍋に三角軟骨とスイートコーンを入れた特製ハヤシライスを大量に作って食べていた。
「めっちゃ煮込むんで、具がトロトロになるんです。なんか歯ごたえのある食感が欲しいなと思って軟骨入れたら、これがぴったり。コリコリしていて、おいしーんです」
どちらかと言えば、辛いのは苦手。甘さのなかにも歯ごたえのある食感を追い求める。そんな彼の職業は、スーツアクターである。
ヒーローや怪獣に扮するあの仕事
ここ10年で認知度大幅アップ
スーツアクターとは何か。
それは、ヒーローや怪人、怪獣などに扮して演技をする俳優さんのことである。激しい立ち回りを伴うため、現在ではそれ専門のスタントマンが演じることも多い。
岩上さんによると、スーツアクターが職業として認知されるようになったのはこの10年くらいのことだという。
「僕がこの仕事を始めたばかりの頃はよく、『うわー、ニセモノや』と言われちゃうこともあったんです」
それが一転、今では「追っかけ」ファンもいる。
「ほんとすごいですよ。テレビのレギュラーしてると、どこで調べてくれはるのかわからないんですけれども、手紙もらったり、差し入れしてもらったり。顔はぜんぜん映らないんですが、ファンの人には『このアクションはこの人や』ってわかるみたいで」