「デザイナーに各社の技術を見てもらって、大まかに作品をどのメンバーに振るか決めたが、制作側にしかわからないこともあり、細かい調整は各制作責任者が行いました」と南川は語る。

「デザイナーとの詰めが重要で、受け取った設計図のデータを元に加工方法や加工手順を相談しながら進めていきました。やらなければわからない面もあり、普段は使わないような特殊な加工方法も採用しました」と杉田。

「普段の仕事より寸法精度は1ケタ高いほどの緻密さでつくっています」と南川は言う。

作品1個に100時間!
最低でも3回は出品する

木を模した作品「ツリー」

 ちなみに、「ツリー」という木を模した作品では南川が責任者となり、3回やり直したという。幹1本の加工に約20時間もかかるため、当初は土日を使って職人につくってもらったが、最後は間に合わなくなり、通常の仕事を止めてまで制作したという。

「1回目の出展はブランディングが目的であり、YMVの世界観を示す必要があるので、カネと手間を惜しまず、納得いかないものは持っていかないと決めていました」と南川は言う。水村も「ラディエイト」という作品を1個つくるために100時間かけた。

「しかも最初の1個は失敗したので、200時間使ったことになります。職人さんも最初は『何で仕事を放ってまでこんなことをやるのか』と不満げでしたが、『とにかく、やってくれ』とお願いして、だんだん完成品に近づくと、その意義をわかってくれました」

 藤澤は「継続こそ重要で、サローネには最低でも3回出す計画です」と言う。

「1回目は採算度外視、2回目は利益を上げられるようにしたいと考えています」

 肝心の資金だが、中小企業庁の「ジャパンブランド育成支援事業」によって助成は得たが、出展費用にほぼ消え、制作費は各社の自己負担だ。当然、経営上はマイナスの影響を免れないが、各社の結束は固く、あえて細かいコスト計算をせずに各社ができることを行い、費用を負担することで乗り越えた。