富山県高岡市で腕を磨いた職人が海外のハイセンスな展示会で外国人を魅了する「超クール」な製品を生み出した。それが自在に曲がる器「KAGO(カゴ)」だ

400年の鋳物技術から生まれた
自在に曲がる不思議な錫製の器

 富山県高岡市は400年の歴史を持つ高岡銅器の町だ。職人たちが営々と仏具や茶道具、花器などを銅合金の鋳物でつくってきた。

 この伝統産業の町から世界を驚かせるような画期的な製品が生まれた。錫(すず)100%の鋳物でつくった自在に曲がる器「KAGO(カゴ)」である。錫は柔らかい素材で、折り曲げることが可能なので、その特性を活かしたKAGOは中に収める物の形に合わせて、平面状から立体的に伸ばすことができる。収納するときは平べったくして、果物などを入れるときは上に持ち上げればいいのだ。

 KAGOをつくり出したのは1916(大正5)年創業の能作(のうさく)である。

 能作はKAGOをはじめとして錫製のテーブルウェアや花器、風鈴、アクセサリーなどをつくっており、売上高は右肩上がり。年率15%程度で伸びており、工場と社屋を新設した今年度は生産能力が上がって、18~20%ほどの売上増を見込んでいる。

 海外でもぐにゃっと曲がるKAGOが受けており、錫製のテーブルウェアと共に売上を伸ばしている。現在、タイのバンコク伊勢丹とアメリカ・ニューヨークのソーホー地区にショップを開いており、今年の秋口からはニューヨーク近代美術館(MoMA)の公式ストアでもKAGOが取り扱われることになった。MoMAのストアはハイセンスな雑貨やインテリアだけを集めていることで世界的に知られており、このストアに認められたことは好影響が期待される。

 KAGOを生み出した4代目社長の能作克治(59歳、以下克治)はこう語る。

「今年からニューヨークには力を入れたいと思っており、MoMAストアに入ったことは今後の広がりを期待できます。現在のソーホーの店は日本企業6社と共同で出しているので、今後、単独で出店するため、いま場所を探しているところです。アメリカと東南アジアが有望で、台湾でも店舗候補地を探しています」

 ヨーロッパではこれまでイタリアのミラノにも店舗を持っていたが、その経営は海外の商社経営者に任せており、その経営者の都合で閉鎖となる予定だ。フランスでは現地で有名なデザイナーのシルビー・アマールと提携し、ホテルやレストラン向けに「シルビーライン」シリーズの名で販売している。それなりに売れているが、克治としては、やはり能作独自の展開を検討中だ。