2010年には年間206回の講演会やライブを敢行、学生や家族連れの前で、はたまた上場企業の部課長クラスのビジネスセミナー等でもギターを弾き、幅広い層に向けてパフォーマンスを披露する松本隆博氏。ダウンタウン松本人志氏の実兄としても知らる松本氏は、講演、歌手活動だけでなく、「社会貢献的エンターテイナー」としてボランティア活動もすれば、複数のNPO法人役員の顔も持つ。サラリーマンから起業家、そしてシンガーソングライターとしてメジャーデビューした異色のキャリアを持つ松本氏の話は、学生から両親、教師、企業で働く社会人まで、今の不安定な現代社会で、各人が幸せに生きるために必要なことを考えるヒントを与えてくれる。
(聞き手/船井総合研究所:小林昇太郎、撮影/蛭間勇介)
会社設立で知った
「事業とは人の幸せのためにある」ということ
兵庫県尼崎市出身。大学卒業後、システムエンジニアとして金融機関、大手商社などを経験。大手家電メーカーグループ・システム会社で150名を束ねる事業部長職を経験し、2003年には東京進出。ITベンチャー企業を設立し経営者として6年間活躍。在職中にモバイルサービス「妊娠応援サイト」を企画構築、今では会員数9万人を有するサービスに育てるなど起業家として活躍。また企業経営者と並行して全国の社会施設や地域で講演ライブをスタート。“社会貢献的エンターテイナー”として活躍。2008年、シンガーソングライターとしてメジャーデビューも果たす。2009年には、「もっと社会を明るく元気にしたい!」と一念発起し独立。高校、大学、企業などを対象にセミナー、講演会を実施。2010年には、206回の講演会、イベントに出演。 主な作品に書籍「松本兄のng」、「松本家のおかん」、DVD「取締役松本隆博のフォークギター教室」、CD「お母ちゃんの言うとおり」、「親友」、「かぞく」など多数。
Photo by Yusuke Hiruma
――まずは松本さんのこれまでのキャリアをお伺いしたいのですが、システムエンジニアを経て、大手企業グループの中で他社との合弁を成功させたというキャリアをお持ちのようですね。
はい。そこをきっちり話しますと、大学卒業後、信用金庫に8年おりました。その後、大手商社に在籍、次にご縁があって大手家電メーカーグループのシステム会社で40歳までシステムエンジニアをやっていたんですね。当時、私はグループ会社の社員でしたから、当然、本体の新規事業はプロパーの社員がやっていくんですが、誰か機動力があって面白いやつはいないかということで、グループ会社の社員である私に新規事業を任せようということになったんですよ。
――新規事業を任せられるとはすごいですね。具体的にどういった仕事をされたのでしょうか。
僕は当時、大手家電メーカーと、大阪に本社を持つある会社とを業務提携させて会社を作ろうと思っていたんですよ。大阪のいろんな会社を回って、僕はその中で、あるカルチャースクールの会社に興味を持ったんです。当時、私の在籍していた大手家電メーカーは、この会社を知らなかったんですね。それで僕の話なんて誰も聞かないわけですよ。有名ではないそんな会社と一緒に会社を作ることに誰も賛同してくれなかった。
と言うのも、僕以外の担当者は全て名の知れた大手企業との業務提携を進めていました。安心して進められると。でもそういった大手企業は自前でもできるくらい、体力もあるので、結局はいいように扱われて提携までいかず、お金だけかかって、何も得ず終えてしまっていました。