日本企業の多くはいまだに
ネット炎上対策が下手

 実際、ここ数年は「女性差別」「性差別」と批判されて炎上するコンテンツが後を絶たない。さらに、前述のエルテスの担当者が話すように、もし炎上してしまったら、その後の対応によって事態は大きく変わってくる。

「たとえば、CMが『性差別』と批判されたとしても、制作側の意図と視聴者の解釈が異なる場合もあります。それを批判されるままに平謝りしたり、コンテンツを取り下げたりすると、視聴者に『企業側が差別的なCMを放送したと認めている』といった印象を与えてしまう可能性も。時には主張を通すほうがよい結果をもたらすこともあります。例えば、以前ユニ・チャームがおむつブランド、ムーニーの動画広告を配信した際、それがワンオペ育児を賛美している(女性の役割を固定化している)と批判されたことがありました。しかし、ユニ・チャームは『育児の現実を描き、育児中の母親を応援したいという意図であった』として、公開を続けました」(同)

 最近、炎上して取り下げられたコンテンツといえば、サントリーのビール『頂』のPR動画が記憶に新しい。

 動画では、食事をする女性の口元がアップで映し出され「お酒を飲みながらしゃぶるのが好き」などとコメント、ビールを飲んだあとは「こっく~ん」と心なしか恍惚とした表情を浮かべる。案の定、ネット上では「セクハラ」「下品すぎる」との批判が殺到した。炎上するや否や、サントリーはわずか1日で動画を取り下げている。

 サントリーの動画の取り下げが正しい判断だったかどうかは別として、炎上狙いかと思われるような攻めたコンテンツを配信し、批判されたらあっさり取り下げる、というのはサントリーに限らず近年多い事例だ。それは、多くの企業がネット炎上の対策・対応について圧倒的に不慣れであることの表れとも言えるだろう。

 そうした意味でも、専門のノウハウをもった第三者によるサービスは、確かに一定のリスク回避になるだろう。

「『ネット炎上対応費用保険』が注目を集めたのも、コンサルティングやモニタリングシステムなどのサービスに価値を見出した企業が多かったからではないでしょうか。今後は保険に限らず、炎上対策や事後対応に特化したサービスが広がる可能性もあるでしょう」(同)

 ここ20年近く、我々は気軽に発信できるネットの便利さを享受し、企業側もマーケティングなどで大いに活用してきた。しかし、そこに加わるリスクへの対策・対応についての市場はまだまだ発展途上にあるようだ。