締め切り時刻をつくる
締切には、ちゃんと時刻を入れることです。
一番困るのは「本日中」です。
これほどいいかげんな言葉はありません。
「本日中」でまず考えられる締切時刻は、定時の午後5時までです。
でも実際には、「出版社で5時に帰る人はいないだろう」と思われています。
「原稿は本日中にやります」と言うので、9時から5時まで待っていると、次に「何時(なんじ)までいます?」というメールが来ます。
「何時まで」と言われても、そのあと、夜に打ち合わせがあって早く出ることもあります。
出版社だからといって、必ずしも夜中の12時まで残業しているわけではありません。
特に、最近は残業が減っているので、もっと早く帰ります。
「22時ぐらいまでいます」と返事をしても、その時間にも来ません。
そして次は「12時をまたがなければ、本日中だ」という解釈になるのです。
最終的に「明日、その人が会社に来るまでにやればいい」となって、やがては「明日の昼まででいい」という、TSUTAYAのレンタルDVDの返却期限のようなことになるのです。
TSUTAYAの「当日」は、次の日の13時までです。
ヤル気のある時は自分から「何時までにやります」と言います。
ヤバい時ほど「本日中」と言うのです。
上司は部下に「本日中」「なるべく早く」「大至急」という言葉を絶対使ってはいけません。
幅を残すことで、逆に相手に対して気の毒な事態を招きます。
相手がいくらでも逃げられるからです。
相手が頑張れるように、きちんと時刻を切ってあげたほうがいいのです。
「本日中」とか「なるべく早く」という指示を出されると、相手はそのつど遅れる言いわけを考えなければなりません。
結局は、頼まれた人が苦しむことになるのです。