首相と「一心一体」
信頼を背景に差配 

 今井秘書官が力を持つ背景は何なのか。

 今井氏は、第一次安倍政権で事務の首相秘書官として仕えた後、安倍首相に求められて、第二次政権で政務の秘書官となった。

 もともと事務秘書官は、財務、外務、経産、総務といった中枢官庁が出し、従来は財務省出身者がなることが多かった筆頭年次の秘書官を中心に、担当分野の省庁との政策作りなどの調整をしてきた。

 政務秘書官は、時の首相が事務所のベテラン秘書や金庫番などを官邸に連れてくる例が多かったが、橋本政権以降からは、首相に近い特定の官僚が登用されるようになった。今井氏もそうした一人だ。

 首相と一心一体で、国会日程や政治日程なども考え、政権全体を見る立場であらゆることを差配し、政策作りでも事務秘書官とは違う突出した力を持つ。役所の担当者に直接、指示が来ることもしばしばだ。

 ある経済官庁の幹部はこう話す。「この件はだめ、これはもっとこうしろと、かなり強く言ってくる。振り回されている感じはなくもないが、総理の信頼は絶大だと聞くし、総理がのってくれれば、政策もやりやすさが全然違う。結局、どこの省庁も今井氏の言うことを聞くしかない」。

ころころ変わる目玉政策
「実態は財政ばらまき政策」

 それゆえに、機動的に政策を転換したり、打ち出したりできるということかもしれない。

 だが、その場その場での政権の利害が優先され、政策の目的や中身が十分に吟味されないまま生煮えで打ち上げられたり、人気取り政策に陥ったりするリスクと紙一重の危うさだ。

 前述したように、「教育無償化」も政策効果を考えればどういうやり方がいいのか、吟味はないまま打ち上げられた観は否めない。財源論も誰がどういう形で負担をするのか、しっかりとした“理屈”が必要だったのに、「消費増税の使途変更」という安易な手に飛びついた。

 そもそも「教育無償化」は、教育機会の拡充や個人の能力を生かすことが狙いなのか、それとも成長戦略として位置付けられたものなのかも、はっきりしなかった。