イタリアの次はフランスが標的に
ドイツの双肩にかかるユーロ問題の解決

 欧州の金融危機はギリシャ危機からついにヨーロッパの大国、イタリアに飛び火した。欧州の銀行が保有しているギリシャ国債の50%を債権放棄させるという中途半端な問題先送りで決着をつけようとしたことが、当然の如く、裏目にでた。市場は冷徹だ。独仏のリーダーをあざ笑うかのように、市場の標的はギリシャからイタリアに移った。11月末、イタリアの10年国債は大量に売り浴びせられ、金利は危険水域といわれる7%台まで一時は上昇。小国ギリシャの破綻処理もできないのに、大国イタリアが財政破綻に追い込まれたら、万事休すだ。

 事実、イタリア国債が暴落した瞬間、今度はフランス国債が標的にされた。フランス最大の銀行であるBNPパリバや、ソシエテ・ジェネラルなど、フランスの主要銀行はイタリア国債を大量に保有している。イタリアがこけると、フランスの金融システムが一瞬にして炎上する関係にある。

 欧州危機の最後の砦、ドイツは悩ましい。危機回避のためにEFSF(欧州金融安定化基金)が資金支援するといっても、実質的な担い手はドイツとフランス。フランスの尻に火がついたいま、頼りになるのはドイツ一国だ。だが当然のことながら、勤勉なドイツ国民は、これ以上自分たちの税金が欧州危機に費やされることに猛反発している。

 こうなったらEU加盟国同士のやっかいなルールにとらわれない、ECB(欧州中央銀行)の出番となるのだが、じつはECBを実質的に形成しているのもドイツだ。つまりドイツがどこまで踏み込んで資金を提供し、新しいEUの枠組みを作り直すか。問題の行く末ははっきり見えてきた。

 ユーロからギリシャを追い出すのか。

 ドイツがユーロから脱退してマルクを復活させるのか。

 それとも一度ユーロの通貨体制を解体した後に、新たに厳しい財政規律のルールを規定し、それをクリアした国だけであらたなユーロを形成しなおすのか。

 いずれにしても、欧州の高級官僚の作文だけではもうどうにもならない。12月9日の欧州首脳会議がラストチャンスだろう。いかなる決着が見いだせるのか。ユーロの未来は、文字通り、メルケル独首相の双肩にかかっている。