なぜなら、ある問題解決が必ず新しい問題をつくるからです。例えばパソコンが生まれてインターネットがつながり、いろんな問題が解決された。すると、新たにウイルスをどうするのか、という問題が生じた。結局、商売事は「問題解決のマッチポンプ」の面があるので、価値観は別にしても経済成長は長い間続くと考えています。

「いよいよ昭和が終わる」
生活満足は過去最高の今

──2019年に新元号となる中、平成の時代をどう振り返りますか。

楠木 「失われた20年」とよく言いますが、20年も失えるってすごい社会ですよ。20年も低迷したら世の中が荒れて、大変なことになってもおかしくない。でも依然として世界で一番、安心安全で食事はおいしく、人々は親切で、というのは図らずも日本の底力を見せつけた平成時代だった気がします。

吉川 長年続いている内閣府の「国民生活に関する世論調査」には、生活の満足度に関する問いがあります。そこで「満足」と答えた割合は17年の調査が過去最高だった。これこそ一つの側面を映し出しています。

楠木 僕は以前、日本の景気低迷が叫ばれていたころ、英国の老紳士が「英国病といわれた本当の不景気のときは、夜に誰も出歩いていなかった。日本の不況は高が知れている」と話していたのを思い出します。英国では犬なんて飼っている場合じゃないから、犬の散歩をする人もいなくなったと(笑)。

吉川 同様の話を私も聞きました。日本が「失われた10年」などといわれていた時期、英国のエコノミストが来日した時に「これがリセッション(景気後退)なら“ゴールドリセッションだ”」とね。