日本電産、「10兆円企業」へのカギは成長に追いつく人材確保【永守会長に聞く(3)】14年度に売上高1兆円を突破し、16年度は村田製作所の規模を抜き、今期は京セラの規模も射程内に収めた。20年度の売上高2兆円計画はほぼ射程に入れているが、30年度に「10兆円企業」に挑戦すると表明している

1973年に京都市内の自宅で創業した会社が、いまや世界一のモーターメーカーになった――。日本電産の勢いが止まらない。2014年度に1兆円を突破した売上高は、20年度の2兆円達成の確度を上げている。最大の目標は、30年度の「10兆円企業」の実現。それに向けても、永守重信会長兼社長は強気の構えを崩さない。その原動力は何か。今後の一段の成長のチャンスをどうみるか。週刊ダイヤモンド 2017年12/30・18年1/6新年合併特大号「総予測」特集のなかで、永守会長が全てを語った。全容を3部構成でお届けする。

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――「10兆円企業」に向けて、生産拠点を拡大させています。ベトナムのハノイ近郊に大規模工場を展開し、京都の本社の近隣地でも「第2本社地区」の構想があります。工場は、海外進出と国内回帰のどちらに重点を置きますか。

 国内と海外の両方やります。今後、日本の法人税も下がってくるし、工場も自動化されてくるので、なんでもかんでも海外に出ればいいという時代ではありません。やはり高度なノウハウを持っている製品は日本で作るのが正しい方向でしょう。

 また、われわれは日本で生まれた企業なので、日本にも投資して日本に貢献しなければいけないという考えもありますし、リスク分散の観点もあります。

 海外進出については、これまで色々な国で工場を作りましたが、顧客の近くで生産するという基本で海外に展開しています。中国の製品は中国の顧客に供給し、ベトナムの工場は、世界に供給する目的で進出します。部品の会社ですから、お客さんの近くで製品を作るのが一番いいんです。