超金融緩和策の伝達者である銀行の収益力が下がる中、「2%物価目標」の意味合いを改めて問う必要がある。欧米と異なって、日本は経済が「数量」でなく「価格」を通じて調整されやすい。政策目標を「2%」で欧米と統一するのであれば、経済の調整経路も数量で共通化する必要がある。その覚悟はあるか?
改めて問われる
欧米と同じ「2%物価目標」
11月のチューリッヒでの講演で、黒田日銀総裁が、金利がある限度まで下がると、金融緩和が逆に経済活動を抑える「リバーサルレート」(注)の問題に言及して以降、金融政策の今後をめぐって、さまざま思惑が生じている。
債券市場でも、この発言が伝えられると、「近い将来にも日銀は10年国債金利の引き上げを検討するのではないか」との見方が一部で生じた。
(注)金利を下げすぎると預貸金利鞘の縮小を通じて銀行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩和の効果が反転(reverse)する可能性がある、という考え方を指す。