そこで、下宿近くにある大学病院の精神科で受診。診断の結果「統合失調症」と判断され、入院した。

 その後、状態が回復。病院も退院した。

 実家に戻ってきたのは、1996年6月。その翌月から、北見赤十字病院に通い始めた。この間、投薬と注射による治療を続けたが、経過は良好だったという。

 ところが、そのうち、次男は外に出たがらなくなった。

「父さん、ヤマトが来ているよ」

 大学時代はスキー部に所属。しかし、真面目な性格で、このままスキー部に入っていたら、飲み会などが多くなり、研究が遅れるからと言って退部。その後、友人関係もなかったという。

 次男は、時々外出するものの、家で引きこもり状態が続いた。

 当時、長男は結婚して、遠くの町に住んでいたため、両親と次男の3人暮らし。次男は、身内の冠婚葬祭のときだけは、外に行きたがった。スーパーなどでの買い物にも、できるかぎり次男と一緒に出かけるようにしていた。とくに、釣りに連れて行くと喜んだ。家族関係は良好だった。

 2007年6月に入ると、次男は『宇宙戦艦ヤマト』を借りてきて、繰り返し見るようになった。

 そのうち、隊員になった気持ちになって、地球を救わなければいけないと言いだした。

 ある日の明け方、「父さん」と呼ぶ声が聞こえる。

「父さん、あそこにヤマトが来てるよ」

 窓を見ると、日の出前の空に雲が浮かんでいた。

 妄想の症状が出てきていると思った。

 「ヤマトを見過ぎてハマったんじゃない?」

 Aさんがそう聞くと、次男は答えた。

 「うん、ハマったな」

 悪くならないうちに早く手を打ったほうがいい。そう思ったAさんは「明日、主治医に相談してもいいか?」と尋ねると、「いいよ」と言う。

 翌6月18日の朝、Aさんは主治医に会いに行った。