上司との飲み会で
残業になるかどうかのポイントは?

 さて、本件に戻ろう。上司との飲み会が「労働時間になるかどうか」である。残業代を請求できる労働時間とは、「使用者(会社)の指揮命令下に置かれている時間」をいう。飲み会の場合、その参加が「業務命令」であったかどうかである。本件でポイントは以下の3つになる。

(1)BがA課長に対し、「『俺(上司)の命令だ』『強制的に誘った』」と言っているが、A課長が他の若手部下にも同じように誘っても、彼らは断ることができている。
(2)A課長との飲み会を断った場合でも、人事考課には影響していない。
(3)酒席では仕事の話ばかりしていない。カラオケやキャバクラ等で遊んでいる。

 したがって、これは業務命令ではなく、私的な飲み会と判断されるため、残業代は請求できないのである。

 これが、取引上の接待として上司の命令で参加した場合はどうなるのか。会食の目的が顧客との取引の円滑な推進等に繋がるものであり、大事な業務の一環と言えるであろう。さらに上司が会食に同席していれば、指揮命令下に置かれているので、残業代を申請することが可能である。

※本稿は実際の事例に基づいて構成していますが、プライバシー保護のため社名や個人名は全て仮名とし、一部に脚色を施しています。ご了承ください。