財政健全化計画との
整合性もはっきりせず

 財源をどうするのかや、財政健全化計画などの他の政策とのちぐはぐも目立つ。

 消費税増税分の使途を突然、変更し、教育無償化に充てることを打ち出したことで、従来の財政健全化計画や「税と社会保障の一体改革」との齟齬が生まれた。

 政府・与党はこれまで消費税率を10%にした時の増収分を、高齢化のため毎年、自然に増え続ける福祉関係予算に充て、プライマリーバランス(基礎的財政収支)の回復を目指すと説明していた。

 それが、「子育て世代への投資」に集中的に割り当てる、という方針に変わり、幼児教育無償化、待機児童解消、所得の低い家庭の子どもたちに限っての高等教育の無償化などが具体的項目として挙げられた。

 政府は、2%の増税による増収分は5兆円強と試算している。

 従来は、このうちの4兆円を国の借金返済に充て、1兆円強を福祉予算に充てるとしていた。

 だが今回の閣議決定では、財政再建に充てるのは半分程度とし、残りのうちの1.7兆円程度を、幼児教育無償化や、低所得者に限定した高等教育の負担軽減など教育関連と介護人材の確保に充てるとしている。

 当然、財政健全化計画で掲げられているプライマリーバランスの黒字化の目標は遠のき、年金生活者などの福祉は、数千億円分は割を食うことになる。

 教育全体の無償化には5兆円が必要とされており、政府がこの政策を追求し続ければ、財政の健全化はさらに混沌とすることになろう。

 無論、プライマリーバランスより成長戦略が重要だという考え方や、福祉の重点を高齢者から子育て世代や子どもに移すべきだという考え方もある。財政的な観点のみで無償化政策を否定すべきではなかろう。

 問題は、「教育無償化」が、何を目指した政策なのか、政府や与党自身が分かっているのか、ということである。