就くべき仕事は得意分野の
周辺領域にある、の好例

 本書のまえがきを書いている最中、SIJの講師として来日したハーバード卒業生Nさんが転職したとの情報が入った。

 Nさんは、ハーバードに飛び級で入学した上に、4年間で学士と修士の両方を取って20歳で卒業(!)した極めて優秀な女性だ。卒業後、ホワイトハウスで経済アドバイザーを務めていた彼女が起業した中身は、経済とも、彼女の専攻の数学とも関係のない「貧困家庭の子どもたちに大学に行って学んでもらい、手に職をつけてもらう」を目標に掲げたNPOである。

 しかし、実は彼女が大学生の頃から興味があったのは教育分野。教育に興味があるからこそ、日本の大分県までやってきて講師を務めてくれもした。その気持ちが、ホワイトハウスに勤務して、政治や行政に関わることで視野が広がりビジョンが強化され研ぎ澄まされ、起業に至ったことを思うと感慨深い。

 就くべき仕事は得意分野の周辺領域にある、の好例である。起業にあたりSIJにも大いに inspireされました、と私にメッセージをくれたNさんの、リスクを取るバイタリティーと芯の強さに私自身が大いに学んでいる。

 ぜひ、あなたが「突き抜ける」ためにこの本を役立てていただきたい。