娘も私も、目の前のことに取り組むうちに
「突き抜けて」いた!

「未来を創り出し、社会にインパクトを与えることで人類に貢献する」――これはだれもが描く長期目標だが、高みから始めるといつまでも到達しない。まずは目の前の小さな仕事を「So good they can’t ignore you 今いる場所で突き抜けろ」レベルにやってのける。

 私の場合は、 so good とまではいかないにしても、自分の英語教室の一人一人の生徒さんのレベルアップをやっていくうちに、英語体験ゼロの児童があっという間に大学入試レベルの長文が読めて、作文が書けるようになってきた。

 それがSummer in JAPAN(SIJ)の設立につながり、ハーバード大学の学生を私の故郷大分県に招聘、日本はもとより世界中から集う小中高生にオープンマインド・多様性・リーダーシップを身につけてもらい、同時に自分の興味のあるワークショップを英語で学んでもらうサマースクールとして知られるようになり、2017年には岡山県でも開催した。さらに本の出版のおかげで、お目にかかったことのないお子さんや保護者の方にまで私の教育メソッドを使っていただけるようになった。

 娘に関しても1つある。ハーバード大学を卒業後、娘はニューヨークのジュリアード音楽院の修士課程に進んだ。自分が確信してやり抜いた活動はムダではなかった、と後でわかるもの。娘が2歳から音楽に従事し続けていることは、意図的ではなかったにもかかわらず、ハーバード大学合格の決め手の1つになったはずだ。

 本書に登場するスティーブ・ジョブズの有名なスピーチ(スタンフォード大学卒業式)のストーリーはこうだ。「未来を予測しながら人生の点と点を結びつけることは人間には不可能だ。ジョブズはリード大学でカリグラフィーの授業を取り、美しさに魅せられた。何かの役に立つとは考えもしなかったが、10年後マッキントッシュにカリグラフィーのすべてを注ぎ込んだ。結果、世界のコンピュータには、美しいフォントが備わっている」。今やっていることはいずれ人生のどこかでつながると信じよう。